無垢材の中でも、特に一枚板を始めて購入する際に、材木店・銘木店、一枚板専門店を巡っていると、今まで聞いた事が無い用語を耳にすることがあります。一枚板は知っていても、無垢材の意味を知らなかったという方も多くいます。無垢材の中でも特に一枚板を購入する際に、知っておくと役立つ専門用語について以下のページでまとめています。
一枚板購入前に知っておくと便利な専門用語
原材料について
無垢材
無垢材とは、木の丸太から切り出すという部分のみ人の手が加わった天然素材です。木のぬくもりという表現がよく使われることがありますが、丸太から切り出した素材のため、触れると木の素材感(質感)がとてもよく伝わってくるのが無垢材の最大の魅力です。
製造加工について
木取り
木取りとは、原木から切り出された丸太の状態、もしくは立木の状態から、どのように製材したら木の味を生かせるのか?一枚板の材料として有効活用するためには、どのように製材したらよいのか?原木の仕入れ値、製材作業を行なう上での採算性、市場価値はどれほどのものなのか?などを見極める工程です。昔、木取りは、木盗りとも言われていました。
墨掛け
墨掛けとは、木取りを行なった後の丸太の状態を綿密に調べ、見えない木の内部にある様々な状態や構造を読み解き、杢目の切れ、柾目の切れなどが無いバランスが良い杢目を中心に、効率的に墨で印を付ける工程です。近年の一枚板製造工程においては、無垢材に白いチョークで印を付け、完成後の一枚板をイメージできる道しるべを残す工程として木取りという言葉が使われています。
製材
製材とは、原木から切り出された丸太を主に一枚板へと加工するための工程作業です。製材を行なうための機械を製材機と呼びます。製材機を保有する材木店・銘木店の数は、年々減っており、製材機を直接目の当たりにできる機会が減ってきていると同時に、丸太を製材できる職人の数も減ってきています。製材機が誕生する以前は、大鋸(おが)と呼ばれる専用のノコギリが利用されていました。
割れ止め
家具店、一枚板専門店で一枚板を購入する際には、割れ止めという言葉はほとんど出てこないのですが、銘木店、材木店で一枚板を購入する際には、割れ止めという言葉がよく出てきます。割れ止めとは一枚板を自然乾燥(天然乾燥)させる過程において、一枚板の主に割れを防ぐために塗られるボンドのようなものです。割れ止めは、大きく分けると、櫨(ハゼ)の実=木蝋(もくろう)と割れ防止剤の2種類があります。塗られたばかりの割れ止めは白くボンドのようですが、乾くと透明で蝋燭のように固まります。一枚板の無垢材の場合、特に木口部分が空気との接触が高く割れやすいため、必ず割れ止めが塗られています。
プレーナー加工
プレーナーとは、大型のカンナで大きな一枚板の表面を綺麗に滑らかな状態にするのとあわせて、水平な状態を作り出すための機材です。大きな一枚板になればなるほど、素人が自ら削って水平を出すことは難しいので、材木店で大きな無垢材を購入して自ら加工を行なう際には、プレーナーまでの仕上げを材木店側に依頼した方が無難です。一枚板の表面を加工する方法には、プレーナーとサンダーの2種類がありますが、それぞれの違いについて以下のページでまとめています。
サンダー加工
サンダーとは、大型のヤスリで大きな一枚板の表面を滑らかにしたり、ウレタン塗装など厚い塗装をはがしたりする際に利用する機材です。サンダーにはオービタルサンダー、コーナーサンダー(マルチサンダー)、ランダムサンダー、ベルトサンダーと主に4種類ありますが、一枚板の表面を加工したり、塗装をはがす際に利用されるのがベルトサンダーで、辺材部分の木の皮やトゲを削ぎ落とす際に利用されるのがコーナーサンダー(マルチサンダー)になります。大きな一枚板の表面を水平にするのにベルトサンダーを利用しても、なかなか素人には水平まで出すことができません。材木店で幅90センチを超える一枚板を購入した際には、材木店側でプレーナー加工を行なってもらい、辺材部分のみコーナーサンダー(マルチサンダー)にて、自ら仕上げるのが無難です。
うづくり(浮造)加工
うづくり(浮造)加工とは、ホイールサンダーを使って木目の柔らかい部分を削り、木目の固い部分を残し木目を綺麗に浮かび上がらせる加工です。洗い出し加工とも呼ばれています。特に杉の仲間は、木目が美しいことと、木目の柔らかい部分が削りやすいことから、うづくり(浮造)加工に最適な樹種となります。家具店や一枚板専門店では、うづくり加工が行なわれた一枚板をみかけることはほぼありませんが、材木店、銘木店に訪れると、うづくり(浮造)加工された一枚板が販売されています。うづくり(浮造)加工された一枚板は、表面が凸凹なためテーブルとして利用する際には、字を書く事が難しいかと思いますが、木目がクッキリと浮かび上がり鑑賞性がとても高い加工技術です。実際にうづくり加工を行なっている様子をご紹介いたします。
ブックマッチ
ブックマッチ(二枚接ぎ)とは、一本の原木から切り出される無垢材を本の見開きページのようにあたかも一枚板のように組み合わせた板になります。ブックマッチ(二枚接ぎ)は2枚の板を接ぎあわせたものとなりますが、三枚接ぎ、四枚接ぎ、五枚接ぎなども販売されています。一枚板は、天然無垢な雰囲気を楽しむものであるのに対して、ブックマッチ(二枚接ぎ)の天板は、中心部を基点として左右対称の杢目となることから、デザイン性に優れています。
材の名称について
節
節とは、木の幹から枝が生えている根元の部分です。節は、生き節と死に節に分類されます。生き節は、無垢材の乾燥過程において、抜けずに残るものであり、死に節は、無垢材の乾燥過程において抜け落ち穴が開いてしまう節になります。無垢材の価値として、節が無いもの(無節)な状態が最も高く、続いて生き節、死に節の順番に価値があると評価されています。ただし、節がある無垢材の方が、自然を感じることができるという理由で、あえて節がある無垢材を選択するのも決して悪い事ではありません。
辺材
辺材とは、原木の皮が付いていた最も外側の部分を指します。逆に中心部分を心材と呼びます。一枚板においては、「耳」という表現もよく使われています。辺材部分は、柔らかく虫が付きやすい部分であることから、虫食い模様をよく見かける箇所でもあります。虫食い模様も、無垢材ならではの意図しない魅力的なデザインです。
心材
心材とは、原木の皮が付いていない中心部分を指します。逆に皮が付いていた最も外側の部分を辺材と呼びます。心材部分は、とても木の特性や特徴がでやすい部分です。様々な樹種の表情、杢目の表情など心材部分は人間の容姿のように、木の個性がとても出る箇所となります。
アオ
様々な一枚板を見ていると、板の黒いシミのようになっている部分を目の当たりにすることがあります。一枚板で黒くシミになっている部分の事を「アオ」と呼びます。アオとはカビの跡になります。一枚板は、木に含まれている水分を蒸発させるために、雨風にさらしながら自然乾燥を行なっています。木に含まれる水分を乾燥で外へ逃がす際、雨に濡らして乾燥を行なった方が木に含まれる含水率が下がりやすくなります。一枚板を自然乾燥させる工程において、雨風にさらされていた際にカビが発生し、その跡が黒くシミとなって残っています。ウレタン塗装やセラウッド塗装の一枚板は、アオが目立つ場合が多いです。
スポルテッド
スポルテッド杢は、樹種の隙間に入り込んだ雨水や細菌、カビが繁殖した際に発生する模様です。正確には、スポルテッド杢は木自身が作り出したものでは無く、細菌やカビなどの繁殖によって出来上がった模様であることから、杢を付けずに「スポルテッド」っとのみ呼ばれることが多いです。材木店・銘木店の中には、スポルテッドは木材の管理がシッカリとできていなかったために発生した模様のため、スポルテッドを低く評価するところもあります。一枚板の希少価値としては、あまり高く評価されていませんが、複雑に入り組んだ幾何学模様は魅力的です。スポルテッド模様の木材は、一枚板としてでは無く、楽器用の木材として利用される事が多いです。
国産材
無垢材は、大きく国産材と海外から輸入される外材に分類されます。国産材においては、欅(ケヤキ)、杉(スギ)、栃(トチ)などが人気で、海外では100パーセント不可能な樹種でいくと、主に2500年前の鳥海山の火山灰から掘り起こされたとして流通する神代が有名です。外産では、アメリカ産のウォールナットや、アフリカ産のブビンガがなどが有名です。めったに流通する事はありませんが、東南アジア産の黒檀などは希少な樹種としてあげられます。
無垢材の種類について
一枚板
一枚板とは、原木から切り出された丸太が製材によって一枚板の原型となす無垢材として加工され、乾燥や塗装などの工程を経て完成する木の板になります。一枚板の主な利用用途は、テーブルになりますが、杢目が美しい一枚板は鑑賞性が高く、部屋に立掛ければ立派なインテリアにもなります。一枚板は生きた自然のままの無垢材です。割れ、反り、ねじれが発生しますが、それもまた無垢材の魅力であり、一枚板の魅力でもあります。一枚板は、材木店・銘木店、家具店、一枚板専門店で販売されており、通販でも購入できます。
古材
古材とは、民家、工房、船、水車、お寺や神社などといった古い建造物を解体した際などに出てきた古い資材です。長い年月をかけて十分な自然乾燥が行なわれているため、割れ、反り、ねじれといった問題は発生し辛いです。深く歴史が刻まれた古材は、存在感があり、とてもよい雰囲気を醸し出す資材として、一般家庭の部屋、レストラン店舗のインテリアとしてマニアにとても人気があります。古材の詳細は、以下のページでまとめています。
「一枚板購入前に知っておきたい専門用語」のご紹介は以上です。次に「一枚板ができるまでの工程」について、ご紹介いたします。
一枚板購入時の基礎知識
一枚板が通常の家具と大きく違う点は、無垢材で出来ているということです。無垢材で出来ているという事は、割れ、反り、ねじれなどが発生する可能性があり、その変化も楽しめることが、通常の家具と異なる一枚板の特徴でもあります。割れたり反ったりした場合、修理してくれる家具店や一枚板専門店もありますが、もともと工務店などに対して一枚板を販売しているような材木店や銘木店は、「一枚板は、必ず変化するもの。」という前提条件のもと小売販売を行なう店舗も沢山あります。一枚板を購入するということは、割れや反りが発生するものという点を必ず理解した上で、購入する事がとても大切になってきます。自然のままの素材である無垢材で出来た一枚板は、「触れたり眺めたりすると自然のパワーを感じる。」という方もいれば、「世界にたった一つしかない完全オリジナルな家具。」という点に魅力を感じる方も多くいます。でも、そんな魅力的な一枚板を実際に購入しようとすると、「どこで購入できるのだろう?」、「どんな種類があるんだろう?」、「含水率って何?」、「一枚板テーブルの塗装の種類と違いって何?」、「割れや反りが発生しない一枚板って無いの?」、「価格が安い無垢材から自ら塗装まで仕上げられないの?」といった沢山の疑問が出てきます。一枚板を購入する側の立場で、いろいろと疑問に思った事などを自らの体験談をもとに、一枚板購入前の基礎知識としてまとめてみました。